道立自然公園
野幌森林公園について
about hokkaido natural park nopporo forest park
概 要
道立自然公園野幌森林公園は、1968年(昭和43年)に北海道百年を記念して道立自然公園に指定されました。面積は2,053ha、札幌・江別・北広島の3市にまたがる野幌丘陵に位置し、公園の大部分(78%)を国有林が占め、昭和の森自然休養林や鳥獣保護区に指定されています。北西部に北海道開拓の村・北海道博物館などの道立の施設が設置されている記念施設地区があるほか、5箇所の入り口からはりめぐらされた遊歩道を使って自然を楽しむことができます。開拓期からの伐採や農地解放、洞爺丸台風などの風倒被害などにより、本来の原始林の姿を留めていませんが、その後の伐採制限や植栽などにより植生が回復しつつあり、大都市近郊としてはまれな大面積の平地林からなる公園です。公園内は、比較的よく残された天然林や草地・沢・池など多様な環境がそろっているため、様々な野鳥・動物・昆虫・植物など四季折々の変化に富んだ自然を楽しむことができます。
野幌森林公園の
自然環境
natural environment of nopporo forest park
環 境
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標 高
ほぼ30m~90m(最低は25m、最高は97m)の間で、緩やかな丘陵をなしています。公園区域の中央は南北方向に走るやや小高い分水嶺となっていて、この分水嶺を境に、東側の沢は千歳川の支流に、西側の沢は豊平川の支流になっています。これらの沢には灌漑用につくられたため池が数か所あります。
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地 質
大部分が第四紀更新世層(約200万年前~約1万年前の地層)に属し、上部には支笏系火山灰層が堆積しています。大沢園地などの沢沿いには第三紀層の露頭もみられます。
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土 壌
全般的に粘土分が多く、上・下層とも埴土系の緊密な土壌となっています。上層は10~20㎝の有機物を含む暗褐色の腐植層であり、下層は橙褐~灰黄橙色の緊密な不透水層状をなしています。
自 然
公園一帯の森林は、一般には野幌原始林として知られていますが、天然林であっても、風害の処理のための伐採や補植など、何らかの人手が加えられており、実際に人手の全く加わっていないという意味の『原始林』は存在しません。しかし公園内の天然林には、温帯林から亜寒帯林への移行帯に位置する森林の様子が比較的残されており、ミズナラ、ハルニレ、カツラ、シナノキ、ヤチダモなどの温帯性の広葉樹林、トドマツを主体とする亜寒帯性の針葉樹林、これらの樹種が入り混じった針広混交林からなる多様な林相が見られます。天然林の中には開拓の歴史をすり抜けてきたミズナラやカツラなどの巨木も残されており、特に、日本の自生のクリの北限が石狩低地帯とされるなかで、樹齢500年ともいわれているクリの巨木は貴重なものと言えます。
森 林
野幌森林公園の森林は、天然林と針葉樹などを植栽した人工林からなっています。天然林は、落葉広葉樹を主体として常緑針葉樹が混生する針広混交林です。地形などの影響を受け、地区によって様相が変化します。太さが1mを超える大木も多く、大都市に近い森林としては驚くほど原生的で、開拓以前の自然の様子を知ることができます。大きく育った天然林の樹木は、風や直射日光をさえぎり、水を保ち、果実や落ち葉などをもたらします。そのような恵みによってさまざまな動物が暮らしています。野幌森林公園の周辺では森が小さくなって見ることができなくなった動物なども、この公園内では見ることができます。
見どころポイント
- キツツキの穴
- キツツキが開けた穴をさがしてみましょう。縦長の四角い穴は天然記念物クマゲラが餌を採るために開けた穴です。また、キツツキが使わなくなった巣穴は、他の動物や鳥などが使います。穴を見つけたら遠くからそっと観察してみましょう。
- 木の実さがし
- 秋には、たくさんの種類の果実がなり、地面にも落ちています。いろいろな形や色があるので集めて比べて見ましょう。風でとぶもの、動物が食べて運ぶものなど、どんな運ばれ方をするのか想像してみましょう。
- 動物の足あと
- 冬は動物の足あとを観察するのに適しています。どんな動物の足跡なのか、図鑑をもとに調べてみましょう。
水 辺
野幌森林公園には大きな川はありませんが、小さな沢やそれをせき止めて作られた5つのため池があります。沢の周辺はヤチダモなどの林に覆われ、水辺には水生動物がすんでいます。沢の水は雨や雪が地下に浸透したもので、澄んでいて一年中涸れません。また、木陰によって夏も水温が高くならないように守られています。
見どころポイント
- エゾサンショウウオとエゾアカガエルの卵
- 春先には遊歩道わきの水たまりや小さな沢をのぞいてみましょう。両生類の卵がみつかるはずです。2本のチューブのようなものに入っているのがエゾサンショウウオの卵、1粒ずつゼリーのようなものに包まれているのがエゾアカガエルの卵です。
草 地
野幌森林公園の森林の周辺には、樹木がほとんどない草地があります。これらは人が森を切り開いて畑にした後、耕作をやめたためにできた人工的な草原です。もとは単調な自然でしたが、人の手を離れて時間がたち、森では見られない草原性の野鳥や昆虫が暮らすようになっています。
見どころポイント
- 春から初夏には、ノビタキやモズ、ホオジロなどの草原性の野鳥を観察できます。また草地では夏にさまざまな花が咲き、そこを訪れる虫たちを観察することができます。花は花粉を運ばせるために、蜜や花粉をエサに虫をよぶのです。花の形や色によってくる虫が違います。いろいろな花を観察して、虫の種類を比べて見ましょう。
生き物
また公園内は、様々な林相の天然林、幅広い林齢の人工林、草地、沢、ため池など、多様な環境がそろっているため、都市近郊で生活する野生生物にとって貴重な生息地となっており、豊かな動物相を見ることができます。
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植 物
園内では138種の自生樹木が記録されています。一方、人工林は公園面積の約40%を占めており、トドマツ、カラマツのほか、明治末期から林業試験場(目的:林業の改善と林産物の利用の発達)によって試験植栽されたストローブマツ、ドイツトウヒなど40種を超える外来樹種が生育し、これらの中には林齢が80年を超える人工林も見られます。草本植物は、多様な種類が自生しており、600種を超える草本類が記録されています。そのため年間を通じて実に多くの種類の植物を観察できます。なお、菌類(キノコ)は約1,200種が確認されています。
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鳥 類
アカゲラ、キビタキ、オオルリ、ツツドリ、クロツグミ、フクロウなどの森林生の鳥類を中心に、159種の野鳥が確認されています。なかでも、北海道レッドデータブックの絶滅危急種に指定されているクマゲラは、野生生物の生息地として野幌森林公園の森の重要性を現す一つの象徴とされています。森林性以外の鳥類は、春から夏にかけてモズ、ホオジロ、ノビタキなどの草原性の野鳥が見られ、ため池周辺の水辺ではコガモ、マガモ、オシドリ、カイツブリ、カワセミなどの姿も目にすることができます。
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哺乳類
キタキツネ、エゾタヌキ、イイズナ、エゾユキウサギ、エゾリス、エゾヤチネズミなどの23種程の哺乳類が確認されています。また近年園内でエゾシカが目撃される事例が増えているとともに、1980年代以降道央を中心に分布が拡大している野生化したアライグマも公園内に定着し、在来の生態系への影響が懸念されています。(野幌森林公園内でのヒグマは2019年、78年ぶりに目撃されています)
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両生類
ニホンアマガエル、エゾアカガエル、エゾサンショウウオの他、国内外来種のトノサマガエルとツチガエルの5種が確認されています。
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爬虫類
カナヘビ、ヒガシニホントカゲ、アオダイショウ、シマヘビ、ジムグリの5種が確認されています。
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魚 類
エゾトミヨ、エゾホトケドジョウ、キンブナ、コイ、ドジョウ、ヤチウグイなど11種が確認されています。
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昆虫類
クワガタムシなどの甲虫や、バッタ、チョウ、トンボ、カメムシなど1324種(+α)が確認されています。 その他、陸産貝類(カタツムリ)が16種確認されています。
野幌森林公園の
四季の表情
the four seasons of nopporo forest park
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春
木々の冬芽がほころぶと、遊歩道脇にはフクジュソウやエゾエンゴサクなどの花が咲き、頭上にはキタコブシやエゾヤマザクラの花が見られるようになります。雪解け水で潤った池や水たまりには、エゾサンショウウオやエゾアカガエルが産卵を始めます。
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夏
新緑から深い緑に移り変わる森の中では、さまざまな生き物の活動が活発になり、セミや鳥たちの声で賑やかになります。またバッタやチョウ、トンボなどの昆虫たちが飛びまわります。草木が生い茂る森で、動物たちが新しい生命を育む季節です。
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秋
森は黄や赤に染まり、木の実、草の実が森の生き物たちへの贈り物となります。やがて果実は風や鳥、虫たちによって分散され、新たな生命の支えになります。やがて現れる雪虫や冷たい風が、冬の到来を告げていきます。
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冬
静まりかえった森の中では、アカゲラなどのキツツキが木をつつく音が響き渡り、時おり聞こえる鳥たちの声も、生命の営みを伝えます。全てを覆うかのような雪面に目をむけると、エゾユキウサギやキタキツネなどの様々な動物の足跡が残されています。
野幌森林公園の
遊歩道コース
promenade course of nopporo forest park
- 桂コース
- (大沢コース分岐~大沢園地:1.7km)
カツラの大木が沢沿いに見られ、秋には美しい紅葉が楽しめます。また四季を通して多くの野鳥が見られます。
- 大沢コース
- (大沢口~大沢園地:1.9km)
トドマツの人工林の他、常緑低木のハイイヌガヤなどが見られ、カツラ、ハルニレ、ハリギリの大木に原始の面影を感じます。
- エゾユズリハコース
- (大沢コース分岐~志文別線分岐:1.2km)
「北海道名木百選」にも選ばれたカツラの大木やヤチダモが見られ、ヤドリギのついた木も多く見られます。
- 四季美コース
- (志文別線分岐~大沢園地:1.9km)
天然林と人工林が見られる平坦なコースです。春にはミズバショウやキタコブシなどが見られ、大沢の池などでは水鳥も見られます。
- 志文別線
- (大沢コース分岐~登満別園地:3.7km)
トウヒやカラマツなどの人工林のほか、ドロノキ、ヤチダモなどの沢沿いの天然林や、オニグルミなど様々な樹木を見ることができるコースです。国有林の「学びの森」として、モミジコース・カラマツコース・エゾマツコースの3本の観察コースが整備されています。
●モミジコース(3.7km)
多様な樹種が生育し変化に富んだ天然林で、秋の紅葉の時期もお勧めです。
●カラマツコース(1.6km)
明治時代に植えられた針葉樹の大木や、原の池をめぐることができるコースです。
●エゾマツコース(2.2km)
ゆるやかな起伏のある沢沿いのコースで、天然林と大正時代に植えられたヒノキ・ヒバ林、珍しい広葉樹の人工林などが見られます。
- ふれあいコース
- (自然ふれあい交流館~記念塔口:1.5km)
沢沿いの天然林では、春にエンレイソウやニリンソウなどが見られるほか、開拓跡地の草原や防風林が見られるコースです。
- 記念塔連絡線
- (文教通~ふれあいコース分岐:1.6km)
開拓跡地の草原やカラマツの防風林、沢沿いの天然林が見られるコースで、秋にはススキの群落やナナカマド並木の紅葉が楽しめます。
- 開拓の沢線
- (北海道博物館前駐車場~開拓の村:0.5km)
沢沿いの天然林の中を縫う小道で、オオウバユリやエゾゴマナなどの花や、沢の付近では様々なシダが見られます。
- 瑞穂連絡線
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(中央線分岐~瑞穂の池園地:1.6㎞、
記念塔口 ~ 瑞穂の池園地:1.9km)
若い人工林や広葉樹の二次林、うっそうとした針広混交林、豊富な林床の草花とバラエティ豊かな森の姿を見ることが出来るコースで、瑞穂の池では水鳥などの観察を楽しむことができます。
- 基 線
- (瑞穂口~登満別園地:3.6km)
トドマツなどの人工林が両側に続く平坦な道です。
- 瑞穂線
- (瑞穂口~開拓の村:1.7km)
開拓の村付近から瑞穂の池園地にかけては天然林となっており、野鳥に出会う確率も高く、瑞穂の池では水鳥も見られます。
- 中央線
- (大沢口~トド山口:5.1km)
西側の開拓跡地には、昔の天然林の姿を再生するよう植樹が行われています。東側にはトドマツやトウヒなどの人工林が見られます。
- 下野幌線
- (瑞穂口~中央線分岐:3.6km)
トドマツやカラマツの人工林、広葉樹林、針広混交林と多様な森林の姿を見ることが出来るコースです。
- 登満別線
- (登満別園地~中央線分岐:3.8km)
トドマツや広葉樹からなる天然林に、沢や小さな沼が点在し、草花や昆虫も多様なものが観察できます。
公園利用時の
マナー
manners when using the park
道立自然公園野幌森林公園は、世界でも数少ない大都市近郊の平地林で、公園内を巡る遊歩道が整備され、多くの人に利用いただいています。道立自然公園の利用にあたっては個人個人がマナーを守り、人にも自然にもやさしい利用が必要です。この貴重な自然を未来へと守り伝えるためにもご理解とご協力をお願いいたします。
- 動物や植物(山菜やキノコも含む)をとらない
- 生き物を捨てない、持ち込まない
- 野生生物にむやみに近づかない
- ゴミは必ず持ち帰る
- 遊歩道からはずれない
- 車で乗り入れない
- 自転車を利用する際は、スピードを落し、
歩行者や遊歩道脇の植物などに配慮する - 火気を使用しない
この他、野幌森林公園記念施設地区(公園案内所周辺広場、北海道博物館、北海道開拓の村など)ではドローンの飛行を規制しています
公園や公園内施設の
連絡先
contact information for parks and park facilities
公園内施設の
お問い合わせ先
- ●自然ふれあい交流館
- TEL.011-386-5832
- ●埋蔵文化財センター
- TEL.011-386-3231
- ●北海道開拓の村
- TEL.011-898-2692
- ●野幌総合運動公園
- TEL.011-384-2166
- ●北海道博物館
- TEL.011-898-0466
- ●江別市森林キャンプ場
- TEL.011-389-6493